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生成AI研修に助成金を使うには?人材開発支援助成金の条件と流れ

生成AI研修

「生成AIの研修に助成金が使えると聞いたけれど、条件も手続きもよく分からない」
そんな方に向けて、この記事をまとめました。

結論から言うと、生成AIの研修には、厚生労働省の「人材開発支援助成金」が使える場合があります。
ただし、2026年8月3日の改正で「どんな生成AI研修が対象になるか」の考え方が変わりました。
また、研修を始める日の1か月前までに計画を届け出ないと、助成は受けられません。

Hot Consultingの温井です。
東海地域を中心に、生成AIの研修と導入の伴走型コンサルティングをしています。
研修のご相談を受けると、ほぼ必ず「助成金は使えますか?」と聞かれます。
一方で、制度は年度ごとに変わり、ネット上には古い情報も残っています。

ということで、この記事では2026年10月時点の厚生労働省の公式資料をもとに、次のことを整理しました。

  • 生成AI研修に使える助成金のコースと、ツールの補助金との違い
  • 助成率と上限、受講料40万円の場合の計算の例
  • 2026年8月の改正で変わった「対象になる研修」の条件
  • 計画届から支給申請までの流れとスケジュール
  • よくある質問(社長は対象?オンラインは?社内の情報は入れて大丈夫?)

社内で「やるか、やらないか」を説明するときの材料として使っていただければうれしいです。

自社の場合はどう進めればよいか知りたい方は、無料相談をご利用ください。

生成AI研修に使える助成金は「人材開発支援助成金」

まずは、どの制度を使うのかを押さえておきましょう。
生成AIの研修で使われるのは、厚生労働省の人材開発支援助成金です。

会社が従業員に研修をしたとき、受講料と賃金の一部が戻る制度

人材開発支援助成金は、会社が従業員に仕事に必要な研修を受けさせたときに、かかった費用と研修中の賃金の一部を国が助成する制度です。
お金を受け取るのは、研修を受けた従業員ではなく会社です。
雇用保険に入っている事業所で、雇用保険に入っている従業員が研修を受けることが前提になります。

助成は「後払い」です。
会社がいったん受講料を全額支払い、研修が終わってから申請して、審査を経て支給されます。
先にお金が出るわけではないので、資金の計画も一緒に考えておくと安心です。

生成AI研修の中心は「事業展開等リスキリング支援コース」

人材開発支援助成金にはいくつかのコースがあります。
生成AIの研修で主に使われるのは「事業展開等リスキリング支援コース」です。
新しい事業を始めるときや、デジタル化(DX)を進めるときに必要な知識・技能を身につける研修が対象になります。

注意したいのは、このコースが令和8年度末(2027年3月31日)までの期間限定の制度だという点です。
来年度以降の扱いは、2026年10月時点ではまだ公式に示されていません。
これから計画する場合は、日程に余裕を持って進めることをおすすめします。

ツールの導入には「デジタル化・AI導入補助金」

名前が似ていて混同しやすいのが、デジタル化・AI導入補助金(旧 IT導入補助金)です。
こちらはAIを含むソフトウェアやサービスを導入する費用を補助する制度で、経済産業省・中小企業庁の事業です。

整理すると、「人を育てる研修」は人材開発支援助成金、「道具を入れる費用」はデジタル化・AI導入補助金です。
窓口も申請の方法もまったく別なので、どちらの話をしているのかを社内で確認しておくと、話が早く進みます。

生成AI研修の助成金はいくら?助成率・上限と計算の例

次に、いくら戻ってくるのかを見ていきます。
数字は事業展開等リスキリング支援コースのパンフレット(令和8年8月3日版)に基づいています。

会社の規模 経費助成(受講料など) 賃金助成(1人1時間あたり) 経費助成の上限(1人1研修・10時間以上100時間未満)
中小企業 75% 1,000円 30万円
大企業 60% 500円 20万円

研修の時間が100時間以上になると、上限は中小企業で40万円、200時間以上で50万円に上がります。
受講料にかかる消費税も、助成の対象になる費用に含まれます。

計算の例(受講料40万円・14時間・従業員1名の場合)

例えば当社の「生成AIビジネス活用研修」の基本のコースは、1名あたり 400,000円(税込)〜、14講座・全7回・15.75時間(講義・演習14時間)です。
これを中小企業の従業員1名が、所定労働時間内に通学またはオンライン(リアルタイム)で受けた場合で計算してみます。

受講料40万円・14時間の助成金計算例
  • 経費助成:400,000円 × 75% = 300,000円(上限30万円ちょうど)
  • 賃金助成:1,000円 × 14時間 = 14,000円
  • 合計:314,000円

賃金助成の時間は、控えめに講義・演習の14時間で計算しています。
実際に支給されるかどうか、いくら支給されるかは、労働局の審査で決まります。
なお、当社の研修は、人材開発支援助成金の利用の有無によって、受講料は変わりません。

eラーニングの研修は経費助成だけ

動画を見て学ぶeラーニングの研修も対象になりえますが、扱いが変わります。
賃金助成は出ず、経費助成だけになり、上限も中小企業で15万円(大企業10万円)に下がります。
さらに、2026年8月3日以降に出す計画では、eラーニングの研修は1人1年度につき1回までになりました(研修全体では1人1年度3回まで)。
「安いeラーニングをたくさん受けて助成金を使う」という組み立ては、難しくなったと考えておきましょう。

2026年8月の改正で変わった「対象になる生成AI研修」

ここが今回いちばんお伝えしたいところです。
厚生労働省の「令和8年8月3日からの変更点」で、生成AI研修の対象の考え方がはっきりしました。

職務に直結する研修が対象、汎用的なプロンプト研修は対象外

2026年8月3日以降に出す計画では、デジタル化に関する研修であっても、仕事に間接的にしか役立たない内容や、職種を問わず誰にでも共通する内容は対象外になりました。

厚生労働省の資料には、生成AIの例がそのまま載っています。
対象になる例は「生成AIを活用して商品提案書の構成案作成・文章生成・修正方法を学ぶ営業担当者向けの訓練」です。
対象にならない例は「生成AIを利用するために汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練」です。
DXの考え方や基礎知識を学ぶだけの研修も、対象外になります。

つまり、「誰の・どの仕事に・どう使うか」が研修の中身に書かれているかが分かれ目です。
受講する人も、研修の内容に合った仕事をしている人を選ぶ必要があります。

生成AI研修で助成金の対象になる内容と対象外の内容

そのほかの主な条件

改正の点に加えて、次の条件もそろえる必要があります。

  • 研修の時間が10時間以上であること(昼休みや移動の時間は数えない)
  • 通常の仕事を離れて受ける研修(OFF-JT)であること
  • 受講するのが雇用保険に入っている従業員であること
  • 研修の時間の8割以上に出席すること
  • 受講料は支給申請までに会社が全額支払うこと(従業員に一部でも負担させると対象外)
  • 事前に、社内の「職業能力開発推進者」を決め、「事業内職業能力開発計画」を作って従業員に知らせておくこと

対象にならない研修・費用

パンフレットには、助成の対象にならないものの例も挙げられています。
生成AIの研修を検討するときに関係しそうなものは、次のとおりです。

  • コンサルタントによる経営改善の指導
  • 自社の業務で使う機器の操作の説明
  • 講演会・見学会・交流会・オンラインサロン
  • 管理職研修・リーダーシップ研修
  • 教材を渡すだけのもの、ビデオを見るだけの講座
  • AIツールの導入費用(研修とセットで契約しても、助成の対象は研修の費用だけ)

特に1つ目は誤解されやすいところです。
業務の洗い出しや改善の指導といった、AI導入のコンサルティングは、この助成金の対象になりません。
助成金の対象になるのは、あくまで「研修」です。
研修とコンサルティングは分けて考え、それぞれの費用の出どころを決めておきましょう。

助成金より先に見ておきたい研修の中身

助成金の条件を満たしていても、研修が現場で使われなければ意味がありません。
研修の現場で、私がいちばん多く聞かれるのは次の2つです。

「セキュリティは大丈夫?」
「実際に何をどう使えばいいの?」

研修を選ぶときは、助成率より先に、この2つに答えられる内容になっているかを確かめてください。
入力してよい情報といけない情報の区分や、法人契約での使い方を扱うか。
演習が、受講する人の実際の仕事に近い題材になっているか。
この2点は、8月の改正で求められるようになった「職務に直結する研修」とも重なります。

社員向けの「生成AIビジネス活用研修」の内容と受講料は、こちらでご覧いただけます。

申請の流れとスケジュール

助成金でいちばん多い失敗は、研修の日程を先に決めてしまい、届出が間に合わないことです。
流れと期限を先に押さえておきましょう。

助成金の申請4段階と計画届・支給申請の期限
順番 やること 期限・ポイント
1 職業能力開発推進者を決め、事業内職業能力開発計画を作る 計画届を出す日までに
2 職業訓練実施計画届を労働局に出す 研修を始める日の6か月前から1か月前まで
3 研修を受ける・受講料を支払う 受講料は支給申請までに全額支払う
4 支給申請書を労働局に出す 研修が終わった日の翌日から2か月以内(厳守)
5 審査・支給の決定 審査は支給申請の後にまとめて行われる

先に整える2つの準備

計画届を出す日までに、社内で「職業能力開発推進者」を決め、「事業内職業能力開発計画」を作って従業員に知らせておく必要があります。
名前は堅いですが、推進者は社内で研修を取りまとめる担当者のことで、計画は会社として人をどう育てるかの方針です。
作り方が分からない場合は、労働局やハローワークで相談できます。
総務や人事の担当の方が兼ねることが多いので、早めに誰が担当するかを決めておきましょう。
準備に数週間かかることもあるので、研修の日程を決める前に手をつけておくと安心です。

計画届は研修を始める日の1か月前まで

計画届は、研修を始める日の6か月前から1か月前までの間に、事業所の所在地を管轄する労働局に出します。
例えば研修を7月1日に始めるなら、1月1日から6月1日までが提出期間です。
窓口・郵送・電子申請で出せますが、郵送は消印ではなく労働局に届いた日が提出日になります。

東海地域なら、愛知県は愛知労働局、岐阜県は岐阜労働局、三重県は三重労働局が窓口です。
都道府県によっては、ハローワークで受け付けている場合もあります。

支給申請は研修が終わってから2か月以内

研修が終わったら、終わった日の翌日から2か月以内に支給申請をします。
この期限は「厳守」とされていて、過ぎると申請できません。
申請の様式は、厚生労働省の申請様式のページから、計画届を出した時点の様式を使います。
受講料を支払ったことが分かる書類なども必要になるので、研修の間から書類をまとめておきましょう。

また、令和7年度から、支給するかどうかの審査は支給申請の後にまとめて行う形になりました。
計画届が受け付けられたからといって、支給が確定したわけではない点に注意が必要です。

つまずきやすい点

相談を受ける中で、よく見かけるつまずきを挙げておきます。

  • 研修の日程を先に決めて、計画届が間に合わない(1か月前を過ぎると対象外)
  • 「助成金で実質無料」という勧誘。研修会社から受講料の返金やキャッシュバックを受けると、全額が不支給になり、悪質な場合は会社名の公表や刑事告発の対象になります
  • 助成金を使うかどうかで受講料が変わる研修。その差額は助成の対象になりません
  • 年度ごとの制度の変更。去年の情報のまま進めると、条件が合わないことがあります

迷ったときは、管轄の労働局か、社会保険労務士に早めに相談するのが確実です。

生成AI研修の助成金でよくある質問

従業員が少ない会社や、士業の事務所でも使えますか?

雇用保険に入っている事業所で、雇用保険に入っている従業員がいれば、規模にかかわらず対象になりえます。
中小企業かどうかは、業種ごとに「資本金」か「常時雇用する従業員の数」のどちらかで判断します。
例えばサービス業なら資本金5,000万円以下か従業員100人以下、製造業や建設業なら資本金3億円以下か従業員300人以下です。
会計事務所・法律事務所・社労士事務所などの士業はサービス業に入り、資本金のない個人の事務所などは従業員の数で判断します。

社長や所長も一緒に受講できますか?

一緒に受講すること自体は自由ですが、助成の対象になるのは雇用保険に入っている従業員だけです。
社長・所長などの代表者や、雇用保険に入っていない役員の分は、受講料も賃金も助成されません。
取締役と部長を兼ねているなど、従業員として雇用保険に入っている役員の方は、扱いを労働局に確認してください。
パートの方や、勤務している弁護士・税理士などの専門職の方も、雇用保険に入っていれば対象になりえます。
誰を対象にするかは、計画届を出す前に決めておく必要があります。

オンラインの研修でも対象になりますか?

講師にその場で質問できるなど、リアルタイムでやりとりするオンラインの研修(同時双方向型)は、通学の研修と同じ扱いで、賃金助成も対象になります。
この場合も、研修の時間の8割以上に出席していることが条件です。
一方、録画を見て学ぶeラーニングは、賃金助成がなく経費助成だけになり、上限も中小企業で15万円です。
2026年8月3日以降の計画では、eラーニングは1人1年度1回までという制限もあります。
オンラインで行う場合は、出席の記録をどう残すかを研修会社に確認しておきましょう。

土曜日や、業務時間外に研修をしても助成されますか?

受講料などの経費助成は対象になりえますが、所定労働時間の外や休日に受けた研修は、賃金助成の対象になりません。
また、所定労働時間の外に研修を受けてもらう場合は、会社が残業代や休日出勤の割増賃金を支払う必要があります。
現場が忙しい業種ほど休日の研修を考えがちですが、助成の額と人件費の両方を比べて日程を決めることをおすすめします。
平日の勤務時間内に組めば、賃金助成も受けられ、残業代などの割増賃金もかかりません。

研修で社内の情報を AI に入れても大丈夫ですか?

現場でいちばん多く聞かれる質問です。
大切なのは、入れてよい情報と入れてはいけない情報を、使い始める前に社内で決めておくことです。
あわせて、個人のアカウントではなく法人向けの契約で使う、1人1アカウントで運用する、といった使い方のルールも決めておきます。
当社の「生成AIビジネス活用研修」では、各コースの最初の回で、顧客情報や取引データを扱う業務の情報管理とリスク対策を扱っています。
ルールを研修の前に決めておくと、研修の中で実際の業務に当てはめて確認できます。

申請は自社でできますか?社労士に頼むべきですか?

申請は自社で行うことができます。
窓口・郵送のほか、雇用関係助成金ポータルからの電子申請もでき、電子申請には「GビズID」が必要です。
ただし、計画届の書類や事業内職業能力開発計画など、準備するものは少なくありません。
社内に慣れた人がいない場合は、社会保険労務士に依頼するのも一つの方法です。
当社でも申請の進め方のご相談をお受けしており、社労士のご紹介も可能です。
なお、報酬を受けて申請書類の作成や提出を代行できるのは、社会保険労務士に限られています。

まとめ

生成AIの研修には、人材開発支援助成金の「事業展開等リスキリング支援コース」が使える場合があります。
中小企業なら受講料の75%(上限あり)と、1人1時間1,000円の賃金が助成されます。

ただし、2026年8月3日の改正で、汎用的なプロンプトの作り方を学ぶだけの研修は対象外になりました。
受講する人の仕事に直結した研修であることと、研修を始める日の1か月前までに計画届を出すことが、いちばん大事なポイントです。
このコースは令和8年度末までの期間限定なので、検討している方は早めに動き出しましょう。

制度は変更される場合がありますので、最新の要件は厚生労働省や管轄の労働局でご確認ください。
皆さんの会社では、生成AIを「誰の・どの仕事」に使いたいですか?

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